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みなしごの告白
第1章 告白 一
ともかく、新潟から千葉に戻った次の日、私は指定された時間に……夕方に会社を訪問しました。迎えに出てくださったのは常務ご本人でした、しかもお一人で……。誰か人事の方とか、そういう方が来ると思っていたので意外でした……だってうちって大企業ではありませんが四五百名程度の社員が在籍する商社でしょう? まさか常務が直接出迎えに来られるなんて……意外であると同時に、少し怖くて身構えました。でもそんな様子を入社前から絶対見せちゃいけないと思って、必死に笑顔を作ってました。その後、常務室へ直接通されて、ふかふかのソファに座りながら、学校の成績はどうだとか、社会人になることの不安はないかとか、威圧的な雰囲気は相変わらずでしたが、常務は笑顔で話をしてくださいました。後から考えると納得できるのですが……お茶も常務自らが持ってきてくださいました。その時は変だなとは思ったのですが、世間を何も知らない女子高生のことですからそれよりも常務と二人きりであることの緊張と闘うことに意識は奪われていました。でもだんだんと……人間ってそういう風にできてるのかも知れません……だんだんとその場の空気に慣れてきたというか、常務って、私が思っているような人じゃないかもしれない、という気がしてきたんですね。すごく優しくて……社員想いというか。今思えば、実際その通りの方でしたが。