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魅惑的な指先
第2章 謎の紳士

そんな事を考えたって意味のない事とは分かっていた。
毎日同じ時間に乗ってくる人達の顔は、朧気ではあるけれど覚えているつもりだ。
そんな中、彼の存在は私にとってはイレギュラー。
彼がたまたま乗り合わせただけなんだろう。
格好はホスト並のきらびやかさを醸し出していた。
でも、髪は無造作に整えられているだけで、
それが【これから仕事に向かう人】とは違うものだと知らしめていた。
彼がどんな職業の人かは知らないけれど、多分…
朝帰りだ。
シャワーを浴びて、あの状態だったのだろう。
女遊びをする男に興味はない。
それに、きっともう二度と会わないだろう人だ。
もやもやとする気持ちを抱えながら、私はパソコンのディスプレイに目を向けた。

