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魅惑的な指先
第2章 謎の紳士

「たっ、助けてくれっ!!」
「っるせぇっ!!喋んじゃねぇっ!!」
「…ひっ、ひぃぃいっ!!」
泣き叫ぶ痴漢男を押しながらホームから姿を消した。
ホームに残されているのは、私と、私の腕を掴んでいる男性の二人だけ。
痴漢男の悲鳴すら聞こえなくなると、私の腕を掴んでいた男性は内ポケットから携帯を取りだし、誰かに電話をかけているようだった。
「…河口です。…はい。終わりました。
そちらに向かいます。」
それだけ言うと、その男性は通話を終え、携帯を内ポケットにしまい…
「引き留めてしまい、申し訳ございませんでした。
今から、ご案内致しますので。」
「…えっ。ご、…ご案内って…どこへ…。」
これからどうなるのだろうと、声の震えてしまっていた私に、その男性はにこやかに微笑むと
「ご心配なさらないで下さい。
貴女には、何も致しませんよ?
ご自宅まで、お送り致しますので。」
と、穏やかな声色で私に話し出した。

