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魅惑的な指先
第1章 プロローグ

踏みつけた後、ギリギリと踵をねじ込むと耳元に
「-----痛ぅっ!」
と小さな呻き声が聞こえてきて、今の今まで触れさせていたその手は離れたんだ。


もしも違う人の脚を踏みつけてしまったのなら、それはそれで申し訳がないけれど、もし文句を言われようものなら、揺れる電車のせいにして謝ればいい。


でも、こうやって手が離れた事を考えると、相手を間違えてはいなかったと言う事だ。



いい気味。
これに懲りたら次はしない事ね。



そう思いながら、車内の窓から見える流れる風景に目を向けた。


今日の会議だけは、絶対に失敗は出来ない。
遅刻も、勿論の事。


左腕に巻かれた腕時計を覗き見ると、定刻通りに運行しているのが分かった。

それに安心した私が胸を撫で下ろしていると、突然脇の下から腕が通され、驚く間もなく乳房を鷲掴みにした。






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