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狂人、淫獣を作る
第2章 捕獲
(1)
※ ※ ※
しばし黙っていた後藤が、ようやく口を開いた。
「……顔写真だけ送って来るならまだしも、いや、写真を送ることだけでも問題な上に、まがりなりにもSMという世間から白い目で見られがちな世界に足を踏み入れるなら、相手の秘密厳守は絶対条件なんだ」
「しかし……結果的に後藤氏の言う二人目となるのは実はその高校生だったわけですね?」
「彼女の名前はリナ――確かに結論から言えばその通りだ。俺が望んでやまない、あの時点で可能な限り無垢な状態の娘だった」
後藤はそう言って徳利を手に酒を注ごうとしたが中身は空になっていた。
「……だがとりあえず、だ……その時はそんな幸運な結果が待ってるなど考えもしなかったし、これっぽっちも望みもしなかった。……そんな考えに至るか、あの状況で? 放っておけば倶楽部も危うい、リナの教育にとっても良いことではない、何と言っても友人が人生を棒に振ってしまうかそうでないかの瀬戸際だ! 全て丸く収めるにはやることは一つ、友人にリナをあきらめさせることだった」
「なるほど……で、後藤氏が打った手は?」
「何も」
「何も……?」
「警察の方が早かった、ってことさ」
「ほう……なぜでしょう? どこから話が漏れたんでしょうね?」
「俺も後で知ったんだが……結局リナが自分で親に相談したんだ」
「自発的に?」
後藤はゆっくりうなずく。
それを受け、源が言った。「……しょせん高校生の小娘ですからね……大方、自分の置かれている状況が怖くなったんでしょう」
「……だろうな」
「そうなると後藤氏、聞き手としてはますます面白くなってきましたね。その状況から、どうやってその娘を二人目の奴隷として手に入れることができたのか?」
「友人のことに触れざるを得ないのでね、本当は手に入れた経緯を話そうかどうが迷ったんだが……ただ、はしょってしまうとあんたのその好奇心に応えられない」
「おかげさまで今……私の好奇心は非常に刺激されていますよ、後藤氏」
「その前に、ちょっとトイレに……あんたも熱燗はどうだ? ……白湯でいい? 俺の体はまだまだ満足してないようでね、追加してもらえんかな?」
後藤の頼みに源は部屋に備え付けの電話の受話器を上げた。
その間に後藤はトイレへと立って行った。