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狂人、淫獣を作る
第2章 捕獲
 もっと酷い写真はないか――? この娘が何とかギリギリ保っている心の平衡を根元から突き崩して、『オンナ』と『少女』がないまぜになっている生暖かな柔らかいメスの芯を握りつぶし、流れ出る蜜汁を涙に変えてその顔中を濡らしてやりたい、そしていずれはそれを新鮮な花弁からあふれ出させたい――後藤のその衝動が、身体の内側を削ぐように駆け抜けながら肉の槍へと突き進み膨張をうながす。
 野田によって処女を奪われたのは腹立たしいが、そんなことは瑣末な話だ。それよりも、被虐でしか染められない『手付かずの場所』をたっぷりと残しているのだ――。
 後藤は、ふと公園の方にいる娘の結芽に目をやった。
 野田が結芽の胴体を両手でつかんで高く持ち上げている。結芽は楽しそうに無邪気に笑っている。
 ――おい……俺の大事な娘に軽々しく触れるな!
 ――穢れるだろうが……離せ……!
 ――早く!
 ――早く!!
 ――穢れる前に!!
 ――離さないと……
 「あ、あの……!」
 そのリナの声に、後藤はふと我に返ってリナを見た。
 「わ、私……どうすれば……」
 後藤は結芽の方が気になりながらもリナにほほ笑むと、リナに携帯の画面をしっかりと見せながら操作して、今日のためにパソコンからコピーしたリナの写真を、一枚一枚削除していった。リナはその様子をじっと見ている。やがて画面には『保存されている写真はありません』の文字が出た。
 「……君の幸運なところは、野田が写真を送った相手が俺だったことだ……俺は写真など見ていないし、知らなかったことにする。君も、写真など俺には見られていない。いいね?」
 リナは体の震えを必死に抑えようとしつつ、それでも震えが止められずまるで幼女のように小刻みに何度もうなずいた。
 後藤は、できる限りやさしい口調で、リナに言い聞かせるように話した。
 「もうすぐ三年生ということは……受験が待ってるだろう? 人生の中でも最も大事な時期の一つだ。受験に集中すべきじゃないかな? あいつ……野田は俺を心底信じている。しかし……」
 後藤はリナの顔を覗き込んだ。
 「俺はあいつを信じていない」
 リナはおびえた顔でじっと後藤を見る。
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