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狂人、淫獣を作る
第1章 獲物
 後藤と源の距離をさらに縮めたのが、お互いSMを愛好していることだった。これもちょっとしたきっかけであったのだが、嗜好が他人に明かしにくいものであればあるほど、そこで一致を見た時には急速に距離は縮まる。同い年な上に好きな作家が江戸川乱歩という共通点もそれを後押しした。すっかり意気投合した後藤と源は、すぐにお互いの部屋を行き来して酒やタバコ、将棋をたしなみつつSMを語り合う仲となった。源のSM嗜好は、もっぱら専門誌や小説などで妄想を膨らませるものであったのに対し、後藤は実践派であり、これまでも何人かの女を調教して被虐奴隷に育て上げてきた経験があった。今日もお互いを誘って昼間から温泉につかったあと、自然に後藤の部屋にやってきてSM談義を始めたのだった。
 「……そこで思うのですよ、後藤氏。世の中複数の奴隷を飼っている方もいますが、私だったら一人の奴隷だけをじっくりと育て上げたい。なぜ二人以上も必要なのか私には解せないのです」
 源は後藤が注いだ熱燗を一口飲んで言った。源は名字に「氏」を付けて呼ぶのが癖だった。
 「あんたの言うことも分からんでもないが、俺はそれを否定するつもりもない」後藤は大柄な体を少し反らせながら、いつもの尊大な調子で答える。
 「二人以上を同時に飼う機会が訪れれば、やはりそうしたいと?」源は将棋盤の上に乱雑に散らばった駒を手にして、もてあそびながら言った。
 「二人目を手に入れて、同時に調教していたことがあった」
 「なるほど、であれば確かに否定はできませんね……なぜ二人目を飼うことに?」
 「一人目にないものを求めたから、だな」
 後藤はそう答えると、猪口の酒を飲み干した。
 「一人目にないもの……? 後藤氏、足りないものがあればそれを満たせるよう、一人目をさらに調教すればよいのでは?」
 「『足りない』んじゃないんだ。『ない』ものはそれじゃ手に入らない」
 「ぜひその話を伺ってみたいものですね」
 しばし、後藤は口をつぐんだ。何か考えている風にも見える。
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