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狂人、淫獣を作る
第4章 淫獣
(3)
後藤は、源の部屋の前に来ていた。
全身に妙な汗をかいている。
後藤は必死に鍵穴に鍵を挿そうとしたが、手が震えてうまく挿さらない。ようやく挿して引き戸を開けると、履いていた旅館備えつけの下駄のまま中に飛び込んだ。
障子越しに入る夕日で真っ赤に染まった部屋の真ん中の、天井から床を貫通している太い柱に少女が縛り付けられていた。
少女の顔は――鼻までを覆うピエロの仮面が被せられていた。
一切の衣服をはぎ取られている少女は、ボールギャグを噛ませられ、両手は後ろに、股間は鋲の施された革製の貞操帯を付けられ、M字に両脚を開かされ、胴体を亀甲縛りにされている。両乳首をピアスが貫通しておりコードの付いたローターがぶら下げられている。貞操帯からも二本のコードが伸びていて、低いモーター音の唸りが聞こえてくる。
少女は小刻みに汗まみれの全身を震わせ続け、突然ビクッ、ビクッと痙攣させて、ボールギャグからピュピュッと射精のごとく唾液を飛ばし、すでに唾液まみれになっている仮面やあごをさらに濡らした。
「ふご……あう……あうん……あぼっ……」
少女は頭を上に向け、性感の絶頂に全身を蹂躙されていた。
「結芽えええっ!!」
後藤は拘束されている少女に駆け寄り仮面をはぎ取ると、一心不乱にその緊縛を、縄を引きちぎらんばかりの勢いで解いていった。
ボールギャグを外し、乳首のピアスに付けられているローターも外すが、貞操帯は小型の南京錠があって外せない。
結芽は頬を紅潮させ、うつろな目で、口からはだらしなく唾液を垂れ流している。
「結芽! 結芽!!」後藤は結芽の身体を抱きしめ、頬を数回叩いた。
空を漂っていた結芽の目は、徐々に光を取り戻してきた。
「……パ……パ……?」
後藤は荒々しくはぎ取るように自分が着ている半纏を脱ぎ、結芽の身体にかけてやった。
「……結芽……」
「パパぁ!!」結芽はそう叫ぶと、後藤の腰に両手を巻きつけ、彼の胸に顔をうずめた。
「結芽、もう大丈夫だ……大丈夫だ……」後藤は泣き声混じりの声で言いながら結芽の頭を撫でた。
「パパぁ!! 遅いー!! ユメ、ずーっとパパが来るの待ってたんだよっ!?」
「すまん、すまん結芽……」