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勤労少女
第1章
次の日、学校での休み時間に詩緒莉が席に座ったままぼうっと外を見ていると、突然目の前に手のひらに乗ったばらばらに切断されたミサンガを突き付けられた。
手のひらの主は航太だった。
「……俺の下駄箱に入ってたんだけど」
詩緒莉は航太を見た。
顔を真っ赤にしていて、明らかに怒っている表情だ。
いきなり航太はバラバラのミサンガを思い切り詩緒莉の顔めがけて投げつけた。そして立ち去った。
周りの生徒が唖然としている中で、詩緒莉は黙々と散らばったミサンガを拾っていった。
詩緒莉は、今日もいつもの河川敷の道を歩いて下校していた。
足取りが、ちょっと重い。
すると、『あの時』と同じように、背後から誰かが走ってくるのが聞こえた。
振り向くと、航太だった。
「……はあ、はあ、……なあ、弓野……あれって、何かの間違いだろ?」
詩緒莉はうつむいてしまった。
航太は詩緒莉の両肩をつかみ、揺すった。
「付き合ってくれるって言ったじゃん? ウソだったのか?」
「……ウソじゃないよ」
詩緒莉はずっとうつむいたままだ。
「じゃあなんであんなこと!」
「……やっぱり、ウソ……かな」
「は!?」