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〝真〟MonsterRaper
第7章 デュラン-番外編
「そ、そこの貴婦人! ハイエルフとお見受けします」

ボブゴブリンは、ジャスワントの元へたどり着くと、ヒヒーンから下りて訊ねた。
もちろんジャスワントはハイエルフではない。頼みごとのため、相手を立てる言い方をしたのだろう。

「ゴブリンの上位種が私に何か?」

ジャスワントは嫌な予感がした。彼は自分たちが殺した、殺したはずのゴブリンの仲間であるということと、そして彼が自分の精霊魔法による救助を申し出ることに彼女は気づいていたのである。

「私の仲間が大怪我をしているのです。 大地母神の加護がなければ手当てができません、どうか私と共に来てはくれませんか!?」

ジャスワントは石田に視線を送った。

「俺も向かうから、君は彼と先に行け。 行軍中に走るのは厳禁だからな」

石田は、『先に行ってろ』と促した。ここでボブゴブリンの彼に経緯を話すことはしなかった。もちろんイザコザになるからであろう。
ジャスワントは、本心であれば目の前のボブゴブリンも始末しなければとも思っていたくらいである。

「…わかりました。案内してください」

「良かった。 一刻を争っていたので、ではヒヒーンにお乗りください」

ジャスワントは先に火の手の上がった洞窟へ向かった。
ヒヒーン大きい馬ではない。そして竜でもない。
爬虫類と馬の融合体のような出で立ちだ。
ケルピーと呼ばれる水馬の亜種である。ケルピーは両生類に近い。
ヒヒーンは二足歩行で足は蹄《ヒズメ》ではなく、ダチョウのような足。爬虫類から鳥に進化する経過の足だ。そして短い両手は退化しているのか小さく、鋭利な爪がある。

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