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〝真〟MonsterRaper
第7章 デュラン-番外編
ダーベラは腰の剣を抜かない。
腕を組んだまま、ニヤっと口角を上げる。
「囲め! 逃がすなッ」
ボブゴブリンの連携は早かった、退路を断たれたデルレイは本来なら逃げる自信がある。
だが、ヒヒーンが厄介である。
ヒヒーンは匂いもたどれる。
村に来れば大ごとだ。
「ダーベラ!」
戦闘態勢に入る両陣営に声がかかった。
ゴブリンの若い雌である。ヒヒーンに跨り、僅かに装飾のある皮の鎧を着ていた。
「…ズメディ様」
ダーベラは手を胸に当て彼女に敬意を表した。
エルフとコボルトは上位種の彼が下位の雌に敬礼したのを不思議がった。
他のボブゴブリンは彼女を意に介さない。状況中だということだろう。
「何事だ? そのエルフとコボルトは…?」
「はっ。 回復に協力してくれたエルフでございます。 洞窟内に、このコボルトがおりました」
火を放ったかどうかの証拠はない。
だが、疑いは強まる。
ズメディはエルフを気にしていた。
「銀髪に白い肌…何者だ?」
ズメディは灰エルフを睨みつける。
ジャスワントもエルフ特有の鋭いまなざしで返した。
そんな時だった。
―――上空から風を巻き起こし、何かがやってくる。
一同は上空を見上げた。
「グガァァァァァァ!」