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〝真〟MonsterRaper
第8章 お嬢様は無理難題をおっしゃる
その柄から発する父の匂いで彼は父の形見であることがわかった。
その剣で手ごろな相手を見つけては斬りかかる毎日を送った。

略奪を繰り返しながら仲間たちとモンスターに挑む日々は、いつからか彼をボブゴブリンにした。
西洋ではゴブリンの善種がボブゴブリンなのだが、日本ではゴブリンの強化種として認識される。

ある時、彼は掟を破り樹海から出て他の森に修行に行ったことがあった。
そこには同じく亜人でありながら、人里に近い場所で生活を営むホビットたちがいた。

怪我をしていた彼はホビットの魔法で治療を受け、不思議な力で回復するその術を我がモノとするべく、その場に留まり修行をした。

ホビットは草原の妖精と呼ばれるが精霊魔法は使えない。
だが、地母神を信仰していたため魔法が使えたようだ。

神を信じないダーベラは必死になって神に祈った。
ホビットたちの雑用から下働きまでなんでもした。

ある時、人間に辱められるホビットの娘を助けるために殺人を犯した―‐
村から追い出されたダーベラは皮肉にもその日から黒魔術が使えるようになった。


『全滅…』

ダーベラの頭を絶望の予感が浮かぶ。

植物型の女一人に村が壊滅されたのに、他にも二体ここには圧倒的強さの魔獣がいた。
火の妖精サラマンダーに酷似した魔獣。
神話で聞いた地獄の番犬のような魔獣。

余計な思惑も脳を過ぎる。
かつて自分が倒したモンスターと魔獣たちの比較である。

「サラマンダー、アルラウネだけに攻撃させろ。
俺たちは逃げないようにするだけが任務だ」

狼がイモリに言い放った。
だが、イモリは聞く耳を持たないのか、ダーベラを翻弄するかのように攻撃を続けた。

「ちっ大量量産型は無能だから困る!」

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