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〝真〟MonsterRaper
第3章 疾風の天使
高い運動能力を前に背中を見せるのは軽はずみだった。
ただ、対峙せねばモンスターの能力を把握するのは不可能でもある。

「ちぃッ」

体を捻り、追撃を避わす。
ハーピーの攻撃は断続的だが大振りで避わしやすい。
しかし、銃をナイフで着剣していない以上、俺が不利である。

可哀想だが、ガラ空きの美しい顔を狙うしかない。
銃を警戒し視線が低いハーピーの頭部にスピンして上段回し蹴りを鮮やかに打ち放った。

「ギャァッ!」

側頭部を襲う衝撃にハーピーはたじろぐ。

「やあっ!!」

気合いとともにハーピーの腹部に銃の床尾を叩きつけた。

「グハァッ」

かがんだハーピーの身体から羽毛がパッと数本宙を舞った。
今度は隙だらけの顔面に渾身の一撃を叩きつければ終わりなのだが、可憐な女の子の顔面に床尾を叩き込むのには躊躇せざるをえない。

「グウゥ…草野郎メェ…」

ハーピーは俺を苦しそうに睨らむと翼で銃を振り払うように羽ばたき、この場から飛び去った。




……ハッと見とれていたことに気づきハーピーを銃で狙うが、目標はどんどん小さくなっていく。

「まぁ作戦は成功だな」

チェイサー弾を撃ち込んだ以上、逃げられる心配はない。
俺は拠点に戻ることにした。

飛び道具の撃ち合いになると思ったが…

あんな風に動くとは想像しなかったな。

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