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第10章 先生って大変

「あー！ダメダメダメ！」
仕事が手につかず、イライラしてしまう。

もう19時をすぎている。

（晃聖…ゆうこさんって人と話してるのかな。）

「あと、少しでおわるのに…私、効率悪すぎ！」

独り言をブツブツ言ってしまう。

スマホを見るが、着信もメールもない。

「はぁ…。」

ゆうこさんに、嘘などつかなければよかった。
申し訳ない気持ちでいっぱいになる私。
純粋な好きな気持ちを傷つけてしまったのだ。

「先生って大変なんだなぁ…。」

もう、帰ろうと決め、明日に仕事を繰り越し、会社を後にした。

「嘘。雨降ってきた。」
ツイてない自分が情けない。
雨にうたれて帰ろう。
なんだか、全部洗い流されるような感覚になった。

皆は走っているのに私は、ずぶ濡れでとぼとぼ歩いている。

「おい！」

ードン！ー

「！！！」

「あんた、何してんの？！
　こんなに濡れて…傘買えばよかったのに！」

晃聖だった。
驚いた私は、彼を突き放す。

「大丈夫だから！家近いし！もったいないからだよ！」

「絶対嘘。だったら、走るでしょ？普通。
　昨日から、様子変だとおもった理由がわかったよ。」

ードキン！ー

「な、なに…。」

ーちゅっー

「んん！」

無理やり彼にキスをされる。

「昨日あいつにあったんだって？
　巻き込んで、悪かった。そんで…准教授との話も聞いたんだろ。」

「私たち、本当は付き合ってないんだから、大丈夫でしょ！やっぱり、晃聖くらいのイケメンだと、色々と大変だねー！好きなられてさ！けど、心理学者だもん！人の心操ってなんぼでしょ？」

私は、笑顔をつくってみる。強がる言葉しか出てこない。