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第6章 求められること

私は、少し後ろめたい気持ちになった。

もう、１ヶ月以内に３人としてしまったこと。

「なー。普通女の子だったら、終わった後に甘えてくるだろー？
　お前は、なに考えてるんだよー。」

少し困った顔で言われる。

「んー。ごめんなさい…。
　私としちゃってよかったの…かなぁ…って…。」

頭をくしゃっとされる。

「俺は、お前が好きだ。
　もし、お前に好きな奴がいて
　気がないのなら、それでもいい。
　前に男と飲みにきたろ？
　あん時俺は、どんな気持ちだったのか、知っておいて欲しかったんだよ。」

お調子者のマスターが真面目に話している。
真剣な表情にキュンとなる私。

「う、うん…。
　また、飲みにきてもいいの…？」

「定休日でもこい！
　お前…もしかして、誘ってんのか？」

笑いながら言うマスターは、もういつものマスターに戻っていた。

「もう、閉店の時間になっちゃうね…。
　結局、お客さん来なかった…。」

ーバチンー

「いたーい！！！」
デコピンをされる。

「色々あんだよ！理由がな！
　……。好きだぞ。」

ーチュッー

「/////」

「照れてるし！あっはっは！」

「もー！！」

ーギュッー

力強く抱きしめられる。
「………。
　あー。落ち着く。
　ずっと、こうしたかった。
　お前は、本当にほおっておけねー。
　俺のことが好きじゃなくていい。
　二番目でもいいから、俺を見てくれ。
　だれかにフられたら、俺のとこにこいよ。
　慰めてやる。
　辛いことがあったら、抱きしめてやるから…。
　頼ってこいよ。」

切ないほどマスターの気持ちが伝わってくる。
私は、本当にマスターの気持ちにこたえられるのだろうか。

「ありがとう…。」

その言葉しか言えなかった。