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ジャスミンの芳香~悦楽エステ令嬢~
第2章 触覚の虜囚
闇のなか、ただよう芳香。
微かに酔いながら、うとうととしていた。

女の掌が
俺の胸板を優しく、這いまわる。
わき腹をくすぐるように、撫でてくる。

「ぅっ……ぁ……」

まるで誘惑されているような
そんな気分だ……

スミカの顔を、意識の中で思い返す。

清潔で色素の薄い印象。
ハーフのような顔だち。
感情のない、機械のような振る舞い……

そんなイメージが出来ていた所為か
視界が遮られている今
意外なほど、情熱的なものを感じる。

俺の皮膚に絡みつく、細指の動き。
指先にたっぷり余韻を残す、蠢き。

明るい所で、視覚で見ていたスミカの印象とは、まるで違う。

「…………。」

意識を集中すると、気配を感じる。
俺の身体のすぐ上に、女がいる。

ベッドに膝立ちになって
俺の上に覆いかぶさっている。
体重移動が、伝わる。

「ハッ……ハッ……」

小さな吐息。
透明感のある、微かな息吹き。
それすら感じ取れる。

淫らな夢を見ているような
それにしては、リアルすぎるような

雰囲気(アトモスフィア)。


無性に、声を確かめたくなる。
スミカの声を。

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