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ジャスミンの芳香~悦楽エステ令嬢~
第2章 触覚の虜囚
スミカは俺の上に跨った。
両手で三角を作るようにして、指を添えてくる。

眼窩と鼻筋を中心に、緩やかな指圧を施してくる。

「おおっ……」

マッサージに戻ると、やはり効く。

スミカの手技は絶妙な力加減を発揮する。
精密機械のようだ。

鼻筋の上端を、じっくり押し込んでくる。

「ふぉ……ッ」

顔が、つられてのけぞってしまう。
そこがツボなのだ。
心地よい痛みが、染みる。

更にほお骨の上端付近……
眼窩にそった、あらゆる窪み……

ツボは、無限にあった。
スミカの指は 花から花へと飛ぶミツバチのように
軽やかに、捉えてくる。

そしてその一点一点を、じっと攻めてくる。
その度に、俺は呻いた。

「ああ……コレで、眼精疲労が抜けるよ……
語りかけてくる、俺の神経が……眼床の奥底から」

情けないほど素直に、実況していた。
抗えない。この快楽は、ホンモノだ……


新人と言っていた。
もし本当にそうだとしたら
スミカのマッサージ手腕は、天性の資質だとさえ思える。

ただ惜しいのは、その資質があくまでマッサージ専用な事だ。
肝心の”性感”が、全然ものたりない。

性感エステで他の娘をオーダーした時は
首から上はノータッチだった。

ホットジェルマスクとフェイシャルケアは
スミカの個人判断でのサービスという事だろうか?

アロマオイルの調合に関しても
性感エステでは店舗のオリジナル調合をそのまま使う事が、一般的だ。
ジャスミンとシダーウッドの配合は、スミカ独自のセンスで行ったようだ。

その点でも、スミカが新人というのは
にわかには信じ難い。

既に職人気質のようなものを感じる。

ただ、今の俺は醒めきっている。
フェイシャルケアは素直に褒めた。
しかしマッサージだけでは、認めない。

肝心のサービスが、なっていない。

内心では、この濃密な施術そのものが
単なる時間稼ぎではないかと勘ぐっていた。

* * *
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