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ジャスミンの芳香~悦楽エステ令嬢~
第2章 触覚の虜囚
俺の身体を蝕んでいた背中・眼の疲労。
スミカの癒し手によって、それは解消された。
いま、身体には活力が漲ってきている。

しかし心は、乾いている。

フェイシャルケアをひと通り終えた。
スミカはベッドの隅で
所在無さげに横を向いている。

その先を見ると、暗い室内に窓明かりが差している。
夜景が見える。全然面白味の無い景色だ。

郊外の木立ちが、このホテルにもたれるように群生している。
……それだけだ。

残りの時間、マッサージの続きを頼もう。
そう思った。

率直に言って、マッサージはもう充分だ。
性感エステでは本来、ここからがお楽しみなのだ。

しかしスミカでは、無理だろう。
そっち方面は期待できない。

こんな時、時間を余らせて終わりにすると
喜ぶ風俗嬢も、存在する。
ラクできてラッキーだという事だ。

ただスミカは、どうだろうか……?
とらえどころが無い面があるが
マッサージの随所にこだわりを感じるし
それに関しては俺だって好感を持った。

途中で終わりにしたら、かえって傷つくかもしれない。

とりあえず無難な選択として
マッサージの続きをさせるのが良いだろう。

割り切ろうと思った。
スミカはマッサージ専門の、機械だと。


とりあえず
足まわりでもほぐしてもらおうか。

マッサージに関しては、この女の手は信用できる。
悪いようにはならないはずだ。

フットケアを頼むと

「はい」

快く応じてきた。

こちらに向き直ったスミカ
その顔を見た瞬間、俺はゾクリとした。

瞳が、輝いている。

* * *
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