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ジャスミンの芳香~悦楽エステ令嬢~
第3章 理と情のはざまで
たじろいだ。
野生的な、反応だった。

スミカが目を伏せた。
目蓋を下ろすと、余計に切れ長に見える。
目尻が、はれぼったい。ツヤツヤしている。
朱をさしたように見える。

セクシーだ。
情感が、こぼれ出てくるようだ……
目元だけは、もう最初のスミカとは別人だ。


スミカの手つきがおかしくなった。

仕草が不自然だった。
俺の片腿を攫みながら、引き下がっていく。

入力のリズムが狂っている。
直に触れているから、明瞭に感じとれる。
いままでの精密な、迷いの無い動きではない。

逃げているのだ。

俺は、何故か感動した。
スミカの、生きた感情が、はじめて確かめられた
そんな気がしたからだ。

今まで”見えなかった”ものが
ようやく、見えた。

すると余計に、興奮した。
やはり、スミカにして欲しい……
そんな気持ちが強まった。

「マッサージしてほしい」

そう伝えた。
率直な願いだ。

ここも、してほしいのだ。

スミカは目を泳がせた。
口をきゅっと結んだ。
悩ましく、眉根を寄せた。

逡巡している。
可愛らしい。

「あの、できます……」

「うん」

「あの、研修でもできたし、今まで
大丈夫だったから、だから、ですので……」

そこまで言ってから急に大きく息を吸い込み
うなだれた。


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