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ジャスミンの芳香~悦楽エステ令嬢~
第3章 理と情のはざまで
「…………。」

俺は、暫く黙った。
どうしたものか、思案していた。

スミカは、嫌がっているのかもしれない。
恥じらっているのかもしれない。

まどろっこしいとは、思わなかった。
不思議なものだ。
あれほど性感を求めて、一喜一憂していたのに。

もしスミカが最初の雰囲気そのままで
時計が針を刻むように正確な動作でスムーズに
”抜き”までこなしていたら

俺は、満足できただろうか?
無理だろう、心のどこかで、虚しさを覚えたに違いない。

これは、俺の望む流れとは違う。
違うが、新鮮な喜びがある。

今までさんざんおあずけを食らった所為か。
一条の光明が見えている、そんな気分だ。

あとはスミカが、応じるかどうかだ。
この先の行為に……


「敬語使うのを、やめろ」

直感的に、そう言った。

外見こそ扇情的なビキニ姿だが
スミカのガードは堅い。

施術のみに集中する、職業人としての心の鎧。
そのぶ厚い鎧がある限り、先には進めない。

やめろ。
事務的な口調を、やめろ。

直感的にそう思ったから
つい、強い口調になってしまった。

「……うん。わかった」

スミカは、応じた。

* * *
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