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ジャスミンの芳香~悦楽エステ令嬢~
第4章 白い香り
電話を済ませて、戻ってくる。

何も急ぐことは無い。
延長時間は、当初の時間よりも長い。

つまり今は、折り返し以前に戻ったのだ。

スミカを、もっと知りたいとも思う。
話をしてみるのもいいかもしれない。

今使っていたスマートフォンの事。
出身の事。通っている短大の事。
性感エステの仕事。将来の夢。
サークル活動、友人、ボーイフレンド。
好きな物、芸能スポーツ文化諸々の娯楽。

話題なんて幾らでもある。
スミカの事を、俺はまだ何も知らないのだ。

しかし意識してみると
いま訊くべき事は、何も無い。
何を訊いても、余計な詮索になってしまう。

彼女の経歴など、知る必要は無い。
大切なのはイメージだ。

しかし今
イメージを補強する必要すら、無い。

真摯なまなざしと癒し手の持ち主。
しなやかな肢体、快楽の泉のようなバスト。
才能豊かな短大生、性感エステ奇跡の新人。

充分すぎる。
これ以上何か訊いても
イメージに、雑味が混ざるだけな気がする。

イメージよりも遥かに大切な事。
今この場での印象。

それも文句のつけようがない。
好印象……というより
もう擬似恋愛にハマりそうなくらい
好ましい。
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