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ジャスミンの芳香~悦楽エステ令嬢~
第5章 SUMIKA
「スミちゃんにほぐして貰ってると……」

「……」

「色々と元気になっちゃうんだ~よ
……わかってんだろう?」

「意識を集中してくださいね」

男性客が露骨な事を語り出す。
男の下肢が、モゾモゾと蠢いている。

スミカはやんわりと、たしなめている。
施術の動作には、全くブレが無い。

「こうしてラスト狙いで入ってんのも
スミちゃんと仲良くしたいからだ~よ」

「ありがとうございます」

「スミちゃんが、うんって言ってくれるなら
……『割増し料金』、払っちゃうよ?」

「ここは、そういったお店ではありませんよ」

「ほんのちょちょっと、手で
やってくれればい~んだ~よ!」

「……」

「お願い、ほんのちょっと」

男性客が、落ち着き無く身じろぎしている。
下半身の挙動だけでも見て取れる。
振り返ってスミカを凝視しているのだろう。

欲情しているのだ。

清楚な施術服からのぞく、健康的な素肌
シンプルな着衣を押し上げる、官能的な肉体の膨らみ。

或いは、その美貌か
3DCGの仮想空間からそのまま抜け出たような
色素の薄い 造り物のような顔

或いは、この密室の空気か。
アロマの香りに包まれ
弛緩しきった雰囲気に身を委ね

ただそうしていれば
女神のような 機械のような 癒し手が
日々の疲れを 確実に消し去ってくれる

スミカの良質な仕事が全て具現化した
この空間に、酔っているのか。


おそらく、その総てだろう。
男なら欲情しても、何の不思議も無い。

契約された時間のなかで この密室で
スミカの奉仕を 肌で受けるのだ。

だから錯覚しても 何の不思議も無い。
この時間 スミカを独占できるのだと。

それだけは共感できる。

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