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ジャスミンの芳香~悦楽エステ令嬢~
第5章 SUMIKA
スミカはすぐ戻ってきた。
手を洗っただけなのだろう。

「……。」

言うまでも無く

既に俺に、気付いている。

凛と立ちつくし
腰掛けた俺を 見下ろしている。

俺もただ、見上げている。

一直線に揃った 薄茶の前髪

ファッショングラスが
室内灯のライトを照り返している。

唇は横に結ばれ
パールホワイトに輝いて見える。

無表情にしか見えない。


「なにしてるんですか」

唇が動いた。 
それだけで 俺は欲情しはじめた。

「もう閉めますよ。勝手に入られたら」

言葉を続けながら
スミカは寛やかに、腕組みした。

「人を呼びますよ」

「…………」

声に聞き惚れていた。
落ち着き払っている。

「出ていってください」

素直に 指示に従いたくなる。
柔らかく、明晰な 声
脳に直接響いてくるような。

計算し尽くされたような 波長。


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