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彼依存
第12章 それでもあなたを
「へぇ、俺がいないとすぐにこれか」
鼻で笑い此方へと足を進める。
その手には私が旅行に使用した
キャリーバックが引かれてきた。
「ねぇ、陸それ…」
適当に床に転がし私の手を引き
耳元で囁かれた
「雅じゃなきゃお仕置きだったよ?」
フワッと触れた唇が
私の耳朶を熱くさせた…
「仕事有給もらうか
退職するか選んで」
「はっ、え…何?何でいきなり?」
「暫く3人で暮らそう
俺たちは仕事は有給つかってる
藍はどうする?」
何がなんだか理解出来ない私は
助けを求めるように
雅に視線を移した…
「焦らすつもりはないねんけど
時間がないんや」
「じ、かん…?」
これからも一緒じゃないの?
陸は私から離れるっていうの?
私が思い出したら
居なくなるって事?
「だから決めて
俺には時間がない」
「私は…どうなる、の?」
「一緒に居たいと望めば
俺たちは一緒にいる
嫌だとおもえば解放するよ」
「思い出してから私が決めるの?」
「うん
だからそれまで
藍を可愛がらせて?」
一緒に居られるかどうかは
私が決める事…
離れても構わないって意味。
そんな悲しい言い方、ある…?
「どんなふうに事が運んでも
藍を想う気持ちは変わらないよ」
「うん」
私はきっと離れない。
どんな事を思い出したって
陸と雅から離れない。
離れられないよ…
「藍ちゃん、泣かへんで」
「っ、う…うん」
本当は分からないの。
私が離れないと思う真意が。
不安になる。
私の意志がぶれないか。
もしかしたら
離れるかもしれないって。
「藍が一番笑顔で居られる場所を探そう」