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彼依存
第12章 それでもあなたを



焦らせたい訳じゃない。
不安にさせて泣かせたい訳でもない。
ただ時間がないんだ
もう動き始めている…
あの人たちが。


雅はそれを知っている
始めからこうなる事は予想していた。
もし藍が見つかれば
俺も雅ももう藍には会えなくなる…
だから少しでも残された時間が
俺たちにあるなら…



藍が真実を知っても
俺たちと居る事を望むなら…



その先は…



藍の笑顔の為に…



生きよう…




「藍が俺を救ってくれたように…」



「藍ちゃんが俺を変えたように…」




もうあんな悲劇は繰り返さない。
死んだ目をした藍は見たくない。
自らを犠牲にするなんてさせない。

思い出さなくていいこと…
でもこの悲劇を含めて思い出さなくては
きっと繰り返す。

辛いはず
だから側にいて
笑わせてやらなければ。




「雅、陸…離さないでね?
私頑張って思い出すから」




藍に思い出させたいのは
俺たちの勝手な都合出しかないのに
健気に笑って見せる藍が
たまらなくいとおしい。


抱き締めた腕に力がはいり
シャンプーの香りが残る髪に
顔を埋めた…




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