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彼依存
第16章 理想の家族



9歳も年下の妹ってのは
まだランドセルを背負い
あどけない表情でお兄ちゃんと呼ぶ。
俺がどう思ってるかなんて知らない…
純粋無垢に近寄るこいつが
異様に癇に障る。


「付いてくんな」


会話も無ければ目も合わせない。
それは、俺が大人になれないから…
高校生だった俺は卒業したら
家を出る気でいたから
馴れ合いなんて…
ましてや家族ごっこなんて
1ミリだって必要ないし求めていない。


きっと心の何処かで恨んでいた。
こいつら家族が居なかったらって…
淡い希望が叶ったかもしれないって…
そんな訳ないのに。
"虚しいだけよ"母親の言葉が
何度リピートされたか…
お前らには分からないだろ?って
切なく笑う母親の気持ちも
今俺の苛立ちも何も知らないだろ?って



「藍ちゃんと仲良くしてあげて
あの子は何も悪くないんだからな」


「あんな子供と遊ぶ程暇じゃない」



完全な八つ当たり。
父親にすら上手く付き合えない俺が
どうやって仲良くしたらいい?
本当に仲良くしたいのは
母親と父親と俺だけで十分
もしここで俺が家族ごっこに参加して
馴染んでしまったら
母親はまた"虚しい"と笑うんだろ?



「どうしたら、いい…」



皆が幸せなんて

到底無理な話だ

それならいっそ

誰も幸せになんかならなくていい

誰も笑わなくなればいい

痛みを味わえばいいんだ。




「お兄ちゃん見て」



いつかの休みにこいつが書いた絵に
仲良く手を繋いで笑う
父さんと、新しい母親と、こいつ
そこに俺も書かれていた。
突き放したのに
痛みを味わえばいいと望んだのに
こいつはまだ理想の家族を夢みていて
その心が余計に嫌になる。



「違うから」


「何が?」


「お前は家族なんかじゃない」




止まらなかった…
たかが小学生にムキになって
溜まっていた胸の内を全てぶつけた。



「お前たちが居なかったら
俺や父さんや母さんは幸せだっし
みんな笑っていられた」



小学生には
理解出来ないような言葉を使い
罵倒し暴言を吐き責め立ててやった。



「笑ってんじゃねーよムカツク」




なのに、笑うな。
頼むからやめてくれ。
その笑顔が俺を悪者にするんだ。



「お願い、消えて」




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