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彼依存
第16章 理想の家族


「お父さんはとても良い人だし
何不自由無い生活をさせてくれてる
お母さんも幸せそうだし感謝してるの
でも、やっぱり本当のお父さんじゃない
どうしたって気使うんだって…」


一人だと思ってるのは
お兄ちゃんだけじゃないのに…


ポツリ吐き出された言葉。
悲痛な叫びが何年も経ってやっと出た。
溜めていたものが
音をたて溢れていく…



「じゃ、何でだよ…
何を必死に守るんだ
笑ってまで居なきゃいけないのか?」



「人は一人じゃ生きていけないの
私はお母さんが大好きだから
泣かせたくないんだ
その為なら笑ってられるよ」



「だから俺に何されても言わないのかよ」



「気付いてないんだよお兄ちゃんは…」



唇を軽く拭いながら制服を整え
瞳に溜まった涙が溢れる前に
ハンカチで目もとを撫でていた。
泣きたいくせに何とか我慢していて
声は震えているのにしっかりと立ち
凛とした姿から目が離せなくなった…



「何を…気付いて…ないって…」



「いつも泣いてるじゃない」




泣いてる?
一度だって涙なんて見せた事ない
この俺がいつ泣いたって言うんだ。
気付いてない?
お前は何を知ってるんだ。




「心が…もう嫌だって
だから目が切なくて、泣いてるみたい…」



「はっ?馬鹿かよ…
俺はお前を苦しめたいんだよ
泣かせたくてしょうがないんだよ」



「代わりに私が…泣くよ…
お兄ちゃんは泣くの我慢してきたんでしょ
私やお母さんが来てから
ずっと我慢してるんだよね?
だから、私が…」



泣きたかったのか俺は…
我慢してきたのか俺は…




「一人は悲しいよね」



「悲しいって、寂しいって言ったら
どうにかなるのかよ…」



「私がいるよ、大丈夫…」



立ち尽くす事しか出来ない俺の手を
そっと、握るこいつは
大丈夫だと繰り返し言っていた。
その時俺は…泣いていたと思う。
声は出さずに涙だけが頬を伝い
熱く苛立っていた気持ちを冷やしていく…



「また今日から、一緒に住める…ね」



その笑顔は俺を救ってくれたんだ。
苛立ちしか感じなかった俺の心を
癒してくれたんだ…
一人じゃないと教えてくれた…




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