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彼依存
第16章 理想の家族


ご飯を食べながら

風呂に入りながら

仕事をしながら

寝ている時にでも



考えてしまうのに。
今更離してやる事が出来る訳ない。
あの日リビングにあったふたつのグラス
きっと奴と飲んだに違いない
お前が好きな苺ミルク。
その後…お前はあいつと…


「ね、聞いてる?」


「あぁ、ごめんな」


机に教科書を広げ
文句言いたげにこちらに視線を向ける。
出しては戻し…出しては戻し…
繰り返されるシャープペンの芯。
決して怒っている訳ではないのは
その口元で分かる。


怒った時は下唇を軽く噛み
嬉しい時は歯を少し見せる
甘える時はわざと唇を尖らせ
悲しい時は…我慢していて分からない



「明日テストなんだからね
しっかり教えてくれなきゃ」


「前日までしなかった藍が悪い
それに一夜漬けなんて勧めれないな」


「だって、勉強嫌いなんだもん」




俺は普通の兄を演じなきゃいけない。
それを藍は望んでいるんだから。
今までの事を藍が無かった事にするなら
俺もこいつの理想でいてやなきゃいけない…



「藍、お前は馬鹿だな…」



頭が悪い訳じゃないんだよ。
でもやっぱり理想の兄は無理だ…
外面だけは理想の兄を演じるから
心の中だけは酷い兄でいいかな…
勝手に、俺が勝手に…
想っているだけだから…



「お兄ちゃん、酷いよ」



笑うお前の顔を見る度に
胸が痛むのは俺がしてきた事に対する
神様か仏様か何かの罰なんだろう…
俺の胸が痛くても潰れそうでもいいから
その笑顔を他の奴に見せないで…



「あぁ、酷いのなんて昔からだよ」


「そんな事ないよ
お兄ちゃんはね優しいよ」



優しい兄は妹を犯さないだろ?
優しい兄は妹を…
好きになったりしない…



「ほら、それより勉強しろ」



こんな感情もつはずじゃ無かった…
ただ苦しめたかっただけなのに
なのにこんなにも愛おしく感じるなんて




「本当に、ごめん…」



藍に聞こえない消えてしまうような声で
机に向かって吐き出された言葉。
自分自身その言葉の真意など分からない…
返って来ないと分かっていながらも
何処かで許して欲しいと…
勝手に想う事を…


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