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彼依存
第16章 理想の家族



帰宅途中近所にある公園の前を通った。
普段なら目もくれずに通り過ぎるのに
今は目が離せなくなった…
以前家に来ていた雅って奴と
ベンチに座り笑顔で話す藍がいたから。

会話なんて聞こえない
だが、その表情から分かった。

藍は恋をしている


その空間には穏やかな雰囲気が流れ
気を許した様に寄り添う二人
誰から見ても幸せそのものでしかない。



「いい気は…しないな…」



虚しく呟かれた声は
自身の足音と共に消えていく。



時折家に招かれる雅に
苺ミルクを作って差し出す藍。
それを部屋に持って行くんだ…
考えない訳ないだろ
二人は苺の様に甘い時を過ごしている…

部屋の前で足を止めれば
それを知らせる吐息が微かに聞こえるんだ
邪魔できる距離にいながら
その資格がない事を自覚し
なんとか兄を演じ続けるしかない。



「兄ちゃん家にいてるんやろ
声我慢してな?」


そんな台詞を聞いた日には
怒りや嫉妬で雅を殴ってやりたくもなる。



「俺は…兄…だから…な」



幾度となく言い聞かせる…
なのに、雅との甘い時が増える度に
藍への気持ちは昂ぶるばかりで
隣室から聞こえる軋みが俺をおかしくしていく。



「っ、ん…はぁ…あ、い…」



気づけば軋む音を聞きながら
自らを扱き藍の名を呼ぶようになっていた。
駄目だと罪悪を感じながらも…
藍の顔を脳裏に幾度となく果てた…



「気を付けて帰ってね
また連絡するから」



そんな弾んだ声で見送るな。
待ち遠しそうに携帯を見つめるな。
幸せそうに鼻歌なんてやめろ。



「藍、彼と仲いいんだな」



「雅ね寂しがり屋なんだ
あんな見た目だけどとても優しいんだよ」



「そっか」



何も言えないよな…
俺は優しくなんてしてやれなかったし
ましてや恋人でもないんだから。
俺は…いい兄でいなきゃいけない…



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