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彼依存
第16章 理想の家族


「俺はっ…っ…
いい兄なんかじゃないんだよ」


痛々しく絞り出された言葉。
兄でいなければ、泣かせてはいけない
守ると誓った筈なのに…


「彼氏の為なんかに…泣くなよ…」


握られた手首を開放してやれば
ゆっくりと起き上がり
俺の頬に熱くなった手の平を当てる。
藍が動くと同時に甘い香りがふわりと
宙に舞っていった。



「悲しい…の?」



何を言い出すかと思えば
自分がされた事よりも俺の心配をし
頬を撫でながら顔を覗き込んでくる。
若干涙を浮かべた瞳がそそるなんて言ったら
不謹慎なんだろうな…



「そんな、事…」


「我慢しなくていいのに
辛い時は辛いって言わなきゃ
心が疲れちゃうよ」



辛い。

お前が雅といると…
甘い時を過ごしていると…
幸せな顔を見せていると…
部屋に運ばれる苺ミルク…

俺ではないあいつと居るなんて

辛い。



「俺は…兄にはなれない…」


「何で…?
私の事嫌いだから…?」


「っ、違う…藍が好き…だ…から」




ほら、困った顔をする。
分かっていた事じゃないか…
藍には彼氏がいて
俺は過去に酷い事をしてきて…
俺の気持ちが伝わる事なんて無い。



「いや、だろ…?
血が繋がってないからって
兄に好きだと言われたら」



「えっ、嫌じゃないよ…
びっくりしたけど…嬉しいよ?」



嬉しい…?
好きの意味が伝わってないのか
本当に兄としてしか見られてないのか
混乱する頭で聞いてやる



「キス出来る?
彼氏がいるのに俺にされて嫌じゃないのかよ?」



我ながら意地悪だと思う。
強気に断る事が出来ないと知っているから
こんな事を聞いているんだ…
兄だからでもいい好きだと言って欲しい
愛おしいお前に触れる事を
断れきれないからという理由でいいから
許して欲しい…



「選べるのかよ…彼氏か俺か…」


「選べないよ…二人とも大切だし
二人とも好きなんだから…」



馬鹿だな…
俺の欲しい答えをそのまま出すなんて
もう離してなんかやらない。
お前が許したんだから。


視線を下げ照れたような仕草をし
乱れかけた服を整える。
相変わらず甘い香りを撒き散らし
色気を含んだ首筋に雫を垂らし…
藍は教材を一つまた一つと手にしていく。







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