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彼依存
第7章 思い出

小さなアパートを出て
真っ赤ななランドセルを背負って向かう。
大きな豪邸に足を踏み入れれば
色とりどりの花に囲まれた…
控えめではあるが
十分な大きさの噴水からは
水しぶきが上がり回りの花々を潤す。




「すごいお家だね」



「今日からここで住むのよ」



扉が開き私たち親子を迎える
お手伝いさんや執事の方。
こんな光景はじめてで
口が塞がらなかった…



「洋子(ようこ)様、藍様
ようこそいらっしゃいました…」



深くお辞儀をされつられて私も
目一杯頭をさげたの。
もう床に頭が着くんじゃないかって位…



案内された部屋は玄関から遠く
一人では迷子になりそうな所。
屋敷内は好きに歩いていいって言われても
こんな広い家歩くのも大変よ…
窓から見えるだだっ広い庭を眺め
贅沢な悩みの溜息を吐き出した。




「私たちが住んでた家より
広い部屋って落ち着かないな…」



1DKのアパートより
今日から自室になった部屋の方が
遥かに広くどこに居たらいいか悩む。
私好みに装飾されたベットには
あの大きなぬいぐるみもいた。


新しいお父さんは
新しい生活を与えてくれた。




「お母さん良かったね」



お母さんとお父さんが
幸せになれるなら私は幸せよ…
リビングのソファに座る二人を見て
心が暖かくなるのを感じた。




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