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彼依存
第9章 涙痕に
ジャラジャラと音がなるアクセ。
痛々しく突き刺さるピアス。
身体のあちこちに書かれた落書き。
弱かった自分を隠す為にした。
そりゃ痛かったし怖かったけど
もう誰にもなめられない見た目が
俺には必要だった。
頭は悪くない方だと思う…
人付き合いもできる方だと思う…
だけど親の都合で引っ越してからは
何もかもが上手くいかなくなった。
「雅の関西弁ってうざい」
「いつもヘラヘラしててキモイ」
「調子乗ってるよね」
いつしか言われるようになった言葉は
思春期の子供には辛いもので
中学を卒業後はそれがトラウマで
高校は入学したものの
全く行かなくなってしまった。
そんな自分を誤魔化す為に
日々増えていく穴は
自分を変えて行くと思っていた。
「今日も飯いらんから」
いつものように家を出る。
向かう先は俺を見てくれる仲間達の元。
アッシュに染めた髪を整え
穴を全部ピアスで塞ぎ
単車に跨がり用もないのに行く。
そこにしか無いと思っていた居場所。
それは小さな世界で
俺はまだ何も見えていなかった…
《本当の自分を出せる場所》を。
「雅ってさ、寂しがり屋なんだね」
「何でそう思うん」
「だって私も同じだから」
「似てるか?」
「一人は嫌でしょ」
「せやなぁ…嫌やな」
「私は一緒にいるよ」
高校生に何言われてるん?
そう思われるかもしれんけど
この言葉は俺が欲しかった言葉。
たかがその一言で救われた…
「やばいわ…そんなん言われたら泣くで」
「泣いてもいいんじゃない」