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彼依存
第9章 涙痕に

初めて会った時も
今みたいな笑顔を向けてくれた。
こんな見た目やから
近づく奴なんておらんのに…
バイト終わりに寄る公園
いつも同じ所に座り
暇を潰すように煙草を咥えている。
「いつもここに居ますよね?」
そう話しかけてきて
気づけばいつも同じベンチで
同じ時間に話をした。
「今日は学校で体育があって…」
「家庭科でクッキー焼いて…」
「テストの追試を受けて…」
しょうもない話ばかり。
学校の話をきいて
家の話をきいて
でもそんな時間が大切だと感じた…
近くなる距離は自然と縮まり
初めて触れた時は緊張もした…
「雅、好きだよ」
「俺も好きやで」
照れたようにシーツにくるまり
その中で握られた手は暖かくて
とても小さかった。
《愛おしい》
そんな感情を教えてくれたことに
感謝している…
俺より年下なのに
年なんて感じさせない位
しっかりしていた。
だから俺の寂しさにも気付いてくれた。
「ありがとな」
「私こそありがと」

