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彼依存
第1章 甘い蜜


彼は言った通り翌日家に来た。
気まずい顔など見せない
いつもみたいに優しく微笑み
脱いだ靴を揃えている。


「ただいま藍」


「あ、うん…おかえり…なさ…い」


まるで昨日の事など無かったように。
優しい彼を演じている。
いや、違うのかも…
この彼も昨日の彼も陸なの。
私が知らなかっただけ。



「荷物まだ届いてないかな?」


「何のこ…と…?」


「雅(みやび)に
宅配頼んだんだよ」


「み…雅君に…?」



背筋に電流が走ったと思う程
びくりと身体が反応した。

雅…あの人は危険だって
陸が言ったんじゃない。
関わるなって言ったじゃない。
その人を…呼ぶの…?



「大丈夫、藍も気に入るよ
藍なら大丈夫だって確信したから」



手を引かれ抱きしめられる。
今の貴方はどっちなの?
優しい彼?
それとも…




ピンポーン



インターフォンが鳴り響く
ついに来てしまった…
雅が…



「藍…雅だ、中に入れてやって」


「っ…うん」



玄関までこんなに遠かった…?
ドアってこんなに重かった…?
気が乗らないって
こういう事を言うんだわ。




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