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彼依存
第10章 ステージ6


陸はシャワーで身体を綺麗に流してくれた。
私の長い髪を洗いながら
和やかな口調で話をする。
それは私の知らない事…



「俺と雅はあまり仲良くなかったんだよ
でも藍の事を大切に想う気持ちは
同じだったからね
藍からしてみれば可笑しな事だろうけど
今も昔も変わらない
藍は二人から愛されてたんだよ」



「前から…?」



「二股って言えば聞こえは悪いけど
俺も雅もそれを許す位
藍が必要な存在だったって事」



「私…最低な子だった…?」



「全然…藍が最低なら
俺たちはもっと最低だろ
藍の気持ちを知っていながら
その関係を続けていたんだから」




私の気持ちって何?
その時私は何を思っていたの…?
私が忘れている事ってそれの事?




「悩ませたい訳じゃないから
あんまり考えなくていいよ
今じゃないだけだから」



「何が…?」



「思い出す時は今じゃないだけ
そのきっかけを作ってるんだから
焦る必要はないって事」




きっかけ…。
私が今雅と陸からされている事は
きっかけなの?




「藍は素直に感じたまま動いてたらいいよ」




感じたまま…。
私は欲しがっていた。
雅と陸にされながら
もっとしてと欲しがっていた。
そういう事?




「わか…っ…た」



「じゃ、出ようか」



頭の先から足の先まで
陸は綺麗に洗ってくれたの。
とても優しく丁寧に。





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