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彼依存
第10章 ステージ6



バスタオルを巻いて髪を乾かす。
陸は自らもシャワーを浴びると言って
再び浴室に戻って行った。



「藍ちゃん、おはよ」


「あ、おはよ」


「朝から陸に可愛がってもらってたん?」


「え…あー、うん」



隠す必要もない。
きっとお互い分かっているから。


寝癖の付いた髪をワシワシと掻きながら
まだ眠そうに欠伸を吐き出した。
瞼は閉じたまま壁にもたれて
煙草の煙を輪っかを作りながら出す。



「ちょっと、頼んでもえ?」



「うん、何?」



「灰皿取ってもらえる?
久しぶりに腰振りすぎて身体怠いねん」



笑い混じりに言うと
薄く目を開けこちらを観察する。
私の表情を見ているんだ…



「気持ちえかった?」



「っ、うん…」



「お尻痛ない?」



「だ、大丈夫…」




目線を合わせずに灰皿を渡す。
目の前に出したはずなのに
なかなか受け取ってくれない雅…
気になって少し顔を上げれば




「っ、んっ…」



手を引っ張られ片手で抱きしめられ
気付けば唇が重なっていた。
バランスを崩した私は
雅に体重をかけ密着している。
バスタオルははだけてしまい
露わになった身体を隠す余裕もなく…




「ぁ、っ…はぁ…みや…び…んっ
煙草、落ちちゃう…」



「ははっ…ほんまや
つい、手出したくなった…」




嫌だった訳じゃなくて
本当に灰が落ちないか心配で
それが無ければ…
無ければ…何?
私先を期待していた…?




「ありがと」



灰皿を受け取った雅は
また瞼を閉じ深く煙りを吐き出す。




「冷蔵庫に苺ミルクあんで
適当にコップ出して飲んでええよ」



「うん…ありがと」



「藍ちゃん、陸と何してたん?」



「えっ?」



「さっきな…陸が俺に
暫く起きてくるなって脅しかけてん
怖くて寝とったけどな」



「そうだったんだね」




陸の行動もだけど
雅の話し方もおかしくて
お腹を抱えて笑ってしまった。
まるで…
取り合ってるみたいじゃない。
私なんかを…
そう思ったらまた笑いが込みあげてきた…




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