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徒然なる日々
第1章 はじまり
父の手掛けたSNSプロジェクトは、試作段階だった。
父・母・姉の香(かおる)・妹の七菜(なな)、知美以外の家族もユーザーとして登録し、実際に利用しながら、父と改善点などを話し合う事で、“リアルな若者の意見をプロジェクトに反映する”というのが父の目的だった。
始めたばかりの頃は、家族で作ったグループ内で、掲示板を使って会話する事が多かったが、子供達は10代の好奇心旺盛な盛りだった為、すぐに飽きてしまった。
当時14歳だった知美には、やりたいことがあった。
「お父さん、私グループに入りたい」
父は普段大人しい知美が意思表示をした事に少し驚いた。
「吹奏楽っていうグループあるんだ。
そこに入りたいんだけど、駄目?」
父は許可するはず、知美には自信があった。
音楽を愛する父は、忙しい仕事の合間を見つけては自宅にあるグランドピアノを弾いている。
幼い頃から子供達はクラシックを聴かされ、コーラスやピアノを習わされていた。
父は自分と同じ様に娘達にも音楽の世界を愛して欲しかったのだ。
その目論見は成功とも失敗ともいえる、当時18歳の香は中学入学と同時に合唱部に入り、知美は小学生の頃から吹奏楽部に入り、中学入学後も続けていた。
だが、当時12歳の七菜は中学入学後、何故かテニス部に入り、父が愛したピアノは誰も続けなかったからだ。
「吹奏楽のグループか、いいんじゃないか?」
父・母・姉の香(かおる)・妹の七菜(なな)、知美以外の家族もユーザーとして登録し、実際に利用しながら、父と改善点などを話し合う事で、“リアルな若者の意見をプロジェクトに反映する”というのが父の目的だった。
始めたばかりの頃は、家族で作ったグループ内で、掲示板を使って会話する事が多かったが、子供達は10代の好奇心旺盛な盛りだった為、すぐに飽きてしまった。
当時14歳だった知美には、やりたいことがあった。
「お父さん、私グループに入りたい」
父は普段大人しい知美が意思表示をした事に少し驚いた。
「吹奏楽っていうグループあるんだ。
そこに入りたいんだけど、駄目?」
父は許可するはず、知美には自信があった。
音楽を愛する父は、忙しい仕事の合間を見つけては自宅にあるグランドピアノを弾いている。
幼い頃から子供達はクラシックを聴かされ、コーラスやピアノを習わされていた。
父は自分と同じ様に娘達にも音楽の世界を愛して欲しかったのだ。
その目論見は成功とも失敗ともいえる、当時18歳の香は中学入学と同時に合唱部に入り、知美は小学生の頃から吹奏楽部に入り、中学入学後も続けていた。
だが、当時12歳の七菜は中学入学後、何故かテニス部に入り、父が愛したピアノは誰も続けなかったからだ。
「吹奏楽のグループか、いいんじゃないか?」