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徒然なる日々
第2章 新しい楽しみ
裕之とは、チャットで知り合った。
チャットは、吹奏楽のグループにいた正人という男から教えてもらった。


父のノートPCでは履歴でバレてしまうので、自分のPCでアクセスする。


昼間は親の目がありアクセス出来ないので、知美は夜中にこっそりとベッドから起き上がり、PCを立ち上げる。

夜中にPCを使う時は、明かりでバレない様に、頭の上からバスタオルを被り、それをPCの上に被せていた。


裕之は27歳の会社員で、眠れない日にたまたま夜中にチャットをしていたら知り合ったのだった。


裕之とチャットをする様になって、数ヵ月が経っていたが、今でも馴れ馴れしくせず、優しく、知美をバカにするような年上ぶった発言はしない、どこにでもいる普通の男性だったが、知美は裕之に惹かれていた。


11歳も年上と文字のやり取りをする事で自分が大人になったように錯覚し、夜中にしか会えないというミステリアスな関係が知美の想いに拍車をかけていた。


「ねぇ、今度会わない?一緒にご飯でも食べようよ。」


裕之のメッセージがチャットの画面に浮かぶ。



「電話もしてないのに?」


知美は少し不安に感じていた。

今まで文字のやり取りをしていただけの相手と、いきなり会って食事するだなんて…。

しかも、自分が恋心を抱いている相手に。


「電話は仕事が不規則だから難しいんだ。会うのは、不安?」


裕之は以前、自分は技術系の仕事をしていると言っていた。
時間が不規則で昼休みが遅くなったり、残業で帰宅が遅くなる事もある、とも。


知美が返信出来ずにいると、また裕之からメッセージがあった。


「大丈夫。今までのやり取りで、知美は良い子だって確信してるよ。見た目がどうとか、そういうの気にしてるなら、それは心配ないから。」



知美は嬉しかった。
裕之と土曜日に新宿で会う約束をしてから、その日は眠った。
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