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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第3章 偶然という運命の悪戯
 〝守ってやりたい〟のひと言には法明なりの真摯さと誠実さがこもっていた。本当に良いのだろうか。芳華は自分に問いかける。今日出逢ったばかりのよく知らない男を家に泊めたりして。
 だが、法明は芳華の生命を救ってくれた。それに、悪い人ではなさそうだ。時々薄紫に色を変える澄んだ瞳を見れば判る。
―後宮を出れば、心から愛せる男に出逢えるかしら。
 ふと、宮殿を抜け出した夜、泰山木の花を見ながら考えた想いがちらりとよぎる。
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