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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第5章 別離と再会
後宮に戻って三日後、芳華に皇帝から寝所に伺候するようにとの沙汰があった。深紅の薔薇の花びらを浮かべた浴槽に身を沈め、芳華は眼を瞑った。そうでもしないと、涙が溢れてきそうだったから。
今まで法明は彼女の大好きな男で、良人だった。だが、芳華の愛した男はもういない。どこにも。この世のどこを探しても文法明という男はいないのだ。自分がこれから抱かれようとしている男はこの世で最高の権力を持つ男、皇帝であった。