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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第5章 別離と再会
青褪めた月は随分と近く見える。細い頼りなげな月が泣いているように見えたのは、芳華の心のせいだったのかもしれない。吹き抜けの回廊が終わると、いよいよ皇帝の寝所になる。宮女が重厚な両開きの扉の前でとまり、今宵、初めて皇帝に召される貴妃に対して恭しく頭を下げた。
女官の先導はここまでとなる。彼女たちは芳華一人を残し、去っていった。本来は何人かは扉の前で寝ずの番をするのが通例であるが、今宵は皇帝からの厳命で、宦官すら不寝番をしていない。
女官の先導はここまでとなる。彼女たちは芳華一人を残し、去っていった。本来は何人かは扉の前で寝ずの番をするのが通例であるが、今宵は皇帝からの厳命で、宦官すら不寝番をしていない。