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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第5章 別離と再会
 支度が終わると、女官や宮女たちに囲まれて、寝所までの長い廊下を辿る。庭に面した廊は吹き抜けになっており、凍てついた真冬の夜気が容赦なく襲ってくる。薄い夜着一枚だけの芳華はかすかに身を震わせた。
 寒い、身体だけでなく、心が寒い。宮女が雪洞で足許を照らし先導する。この先に皇帝が後宮を訪れたときの寝所があるのだ。廊から見上げた広大な庭は宵闇の底に沈んでいたが、紫紺の空には寒々とした眉月が危うげに浮かんでいた。
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