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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第5章 別離と再会
「騙すつもりはなかった」
広い寝室はまるで深い水底(みなそこ)を漂っているかのような錯覚を与える。あの懐かしい二人の家よりも数倍は広い寝室には贅を凝らした黒檀の卓や飾り棚が配置され、奥に大人でもゆうに数人は眠れそうなほど大きくて豪奢な天蓋付きの寝台が置かれている。
芳華がここに来たのはこれが初めてではない。婚礼を挙げたその夜、初夜を過ごすために一度来ているが、その夜、皇帝は婚礼にも寝所にもついに現れなかった。本来なら、二人の初夜はあのときになるはずだった。
広い寝室はまるで深い水底(みなそこ)を漂っているかのような錯覚を与える。あの懐かしい二人の家よりも数倍は広い寝室には贅を凝らした黒檀の卓や飾り棚が配置され、奥に大人でもゆうに数人は眠れそうなほど大きくて豪奢な天蓋付きの寝台が置かれている。
芳華がここに来たのはこれが初めてではない。婚礼を挙げたその夜、初夜を過ごすために一度来ているが、その夜、皇帝は婚礼にも寝所にもついに現れなかった。本来なら、二人の初夜はあのときになるはずだった。