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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第5章 別離と再会
 卓の上には唐草模様の青磁の壺が置いてあった。大ぶりの花は牡丹だろうか。宮殿の庭園には大きな温室もあり、常に四季折々の様々な花が咲き乱れている。毎朝、お花係と呼ばれる専任の宮女たちがその中から花を選び、皇帝や後宮の妃たちに配るのだ。
 まだ牡丹など咲いていないはずのこの季節に、皇帝の寝所には両手で持っても余るほどの緋牡丹が幾つも活けられ鮮やかな彩りを添えている。この国の皇帝がどれほどの力を持つかを誇示しているかのようだ。
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