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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第1章 Prologue~白き花の下で~
―母上、私もいつか出逢えるでしょうか?
幼い彼は心の中でそっと亡き母に呼びかける。彼の母、楊皇后は前皇帝、光成帝の最も寵愛の厚い妃であったが、惜しむらくは皇帝にとってたった一人の皇子を産んだ五年後、儚くなってしまった。
元々、身体の弱い女(ひと)であったと聞いている。母が亡くなったのは彼が五歳になったばかりの冬だったけれど、優しかった母の記憶はまだ彼の中にわずかに残っていた。