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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第9章 後宮艶夜*スキャンダル Prologue~幼い記憶~
 紫蘭は見かけは楚々とした姫だけれど、なかなかに闊達な少女だった。そんな予想外の一面も余計に鵬貞にとっては魅力的に思える。取り澄まして、ただ鵬貞の気を惹くことだけを考えている女なんて何の魅力もない。紫蘭は何の下心も駆け引きもなく、真っすぐ鵬貞を見てくれる。だからこそ、鵬貞もまた紫蘭をこの上なく愛しく思うのだ。
 そろそろ晩春のはずなのに、その日は何となく空気も冷たく、気温もあまり上がらなかった。クシュンと鵬貞が小さなくしゃみをしたのを紫蘭がめざとく見つける。
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