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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第9章 後宮艶夜*スキャンダル Prologue~幼い記憶~
「皇后さま、皇后さま」
 紫蘭が侍女の翠容(すいよう)に起こされたのはその同じ日の夜半だった。
「どうしたの?」
 翠容は紫蘭の実家から付き従ってきた侍女で、翠容にとっては最も信頼のできる気心の知れた存在である。
「皇帝陛下が急に高熱を出されたとかで、今、星辰殿は大変な騒ぎになっているとか」
 翠容が声を低めて教えるのに、紫蘭はハッとして寝台に身を起こした。
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