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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第10章 後宮艶夜*スキャンダル  深き眠りの底で~浄心院での日々~
 光徳帝の崩御から既に五年が経っている。せめて良人の最期の瞬間は側にいかたった。紫蘭は今でも彼の側にいてあげられなかったことを心から後悔している。けれど、紫蘭の気持ちだけでは何ともできなかった。
 共に牡丹園で咲き誇る花を愛でたその夜、皇帝は急に高熱を発した。元々、身体が丈夫な質ではなく、ひと月に数度は寝込むような蒲柳の質だったのだ。侍医はその日の寒さを指摘し、身体の弱い皇帝を肌寒い日に外に連れ出した皇后のふるまいを控えめに非難した。
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