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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第10章 後宮艶夜*スキャンダル 深き眠りの底で~浄心院での日々~
自分を取り巻く様々な音が耳から飛び込んでくるのに身を任せ、紫蘭はしばらくしてまた眼をゆっくりと開いた。翳(かげ)を落とす長い睫(まつげ)が震え、瞳がゆっくりと開く。
眼が覚めたら、今が五年前で、ここが宮殿で、あの方が変わらずお健やかでいらせられたら―。などと考えてしまうのは、いまだ見果てぬ夢を見ているからだろうか。光徳帝と穏やかに紡いでゆくはずだった夫婦としての年月、良人に愛され子の母となっていたはずの。
眼が覚めたら、今が五年前で、ここが宮殿で、あの方が変わらずお健やかでいらせられたら―。などと考えてしまうのは、いまだ見果てぬ夢を見ているからだろうか。光徳帝と穏やかに紡いでゆくはずだった夫婦としての年月、良人に愛され子の母となっていたはずの。