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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第10章 後宮艶夜*スキャンダル 深き眠りの底で~浄心院での日々~
この時期には珍しく牡丹の花や葉の上に露の雫が乗っている。紫蘭は微笑み、ほっそりとした指でその雫をぬぐった。ひんやりとした感触が指先から伝わってくるのも心地良い朝の始まりのようだ。
今日は何か良いことがありそうだと気分が弾んでくること自体が珍しい。紫蘭は少しの間、眼を瞑った。途端に辺りが静かすぎるほどの静寂に包まれる。小鳥の囀り、葉が風にそよぐ音。視覚を閉ざすことで、その他の感覚―聴覚などが余計に研ぎ澄まされてくる。
今日は何か良いことがありそうだと気分が弾んでくること自体が珍しい。紫蘭は少しの間、眼を瞑った。途端に辺りが静かすぎるほどの静寂に包まれる。小鳥の囀り、葉が風にそよぐ音。視覚を閉ざすことで、その他の感覚―聴覚などが余計に研ぎ澄まされてくる。